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福岡高等裁判所宮崎支部 昭和43年(ネ)43号 判決 1970年7月20日

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴代理人は「原判決を取り消す。被控訴人中尾純一、同中尾芳郎、同中尾正昭は、別紙第一目録記載の土地のうち、原判決添付図面(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)(イ)の各点を順次直線で結んだ斜線部分につき賃借権を有しないことを確認する。被控訴人中尾純一、同中尾芳郎、同中尾正昭は、各自控訴人に対し昭和四〇年三月一日以降同年四月一五日まで一ケ月金五、〇〇〇円の割合による金員を支払え。被控訴人中尾純一は、控訴人に対し別紙第二目録記載の建物を収去して前示土地を明け渡し、かつ昭和三〇年四月一六日以降右土地明渡済に至るまで一ケ月金一万五、〇〇〇円の割合による金員を支払え。被控訴人株式会社まからず屋は、控訴人に対し右建物から退去して右土地を明け渡せ。訴訟費用は第一、二審共被控訴人らの負担とする。」旨の判決並びに第二ないし第四項につき仮執行の宣言を求め、被控訴代理人は主文同旨の判決を求めた。

証拠(省略)

理由

当裁判所も、控訴人の本訴請求を棄却した原判決の判断を相当と認めるものであつて、その理由は左記に訂正付加するほかは原判決理由説示と同一であるからこれを引用する。原判決八枚目表一二行「中尾正昭は」の次に「原告主張の履行遅滞を争い、仮りに遅滞があつたとしても」を加え、同九枚目表五行「慣行的」を削り、同六行「支払うことに」の次に「賃貸借の当事者間に暗黙の合意が成立し、支払期限の点はさような趣旨に」を、同七行「上記催告は」の次に「昭和四〇年四月分の賃料については」を各加え、同行九「しかし、さればといつて」を「同年三月分の賃料については賃借人たる中尾新一に遅滞の責は免れず、かつ」と訂正し、同一〇枚目表九行から一〇行「賃料にすぎないのに」の次に「同人の右賃料債務の支払を担当した被告中尾純一は、前示のとおり、同月一三日前記小切手が不渡となつたことを聞かされるや、直ちに使用人である田中徳子をして現金三万円を原告方に持参させ、債務の本旨に従つた現実の履行を提供をしたにも拘らず原告においてこれを受領しなかつたものと解されるのであるから、賃借人たる新一はもはやこの時点以後には履行遅滞の責を負うことなく、原告主張の解除権はここに消滅し、これを行使するに由なきに至つたものというべきである(最高裁昭和三七年(オ)第五五〇号、同四一年一二月一五日第一小法廷判決、民集二〇巻一〇号二〇八九頁参照)。なお、仮りにそうでないとしても、」を加える。以上の認定に反する当審証人林笑子の証言、内村彦二本人尋問の結果は措信しがたく、他に右認定判断を左右するに足りる証拠はない。

そうすると、原判決は相当であつて本件控訴はその理由がないから民訴法三八四条、九五条、八九条により主文のとおり判決する。

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